【 風船 】/
豊嶋祐匠
赤く陽気な風船は
ぷーっと膨らんで
青い空に舞い上がるよう
しょぼくれた風船は
針で貫かれた
尽き果てた死人のよう
風に彷徨う風船は
宛ての無い
孤独な漂流者のよう
君が
どんな風船であろうと
構わない
ただ
その風船の中は
いつも、温かで在れ。
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