春の夢/ぽえむ君
時が流れば折り返し
春を教える梅が咲く
匂いを風が染めあげて
空には花の色がつく
春を描けるこの春は
今は今しか紡げるものを
わずかばかりの若草に
蝶がひらひら飛びまわる
草から草へ渡りゆく
花はなけれど花となる
夢を語れるこの春は
自分の明日に開けるものを
水の流れはゆるやかに
春を伝える川がゆく
音が光を盛り上げて
石には水の色がつく
夢を展ばせるこの春は
自由自在に操るものを
少しばかりの浮き草に
魚(うお)がゆらゆら泳ぎゆく
水から水へ移りゆく
花はなけれど花となる
夢をつくれるこの春は
果てることなく終わらぬものを
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