夕焼けのソケットさん/AB(なかほど)
赤とんぼ食堂の他人丼の味と
裸電球の熱は変わってなかった
そんなことで
たったそれだけのことで
さんざん無理して
気付かないふりしてきた僕が
すぐそこで笑っている
淋しい目をしてれば
まだ許せるものを
どこを見ていたのか
あの日の僕は
明日の僕を見ながら
裸電球のソケットに
コンセント口が付いていて
そこに繋がるラジオから
夢が見えていた頃
たまらなくなって
黒いスイッチをひねれば
背中の方から
抱きついてきた
吐息はそこから
喧騒の中 始まる
二人だけの静かな夜に溶け
赤とんぼ食堂の他人丼の味と
裸電球の熱は変わってなかった
そんなことで
たったそれだけのことで
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