陽炎・幽霊/テルテル坊主
いつかの夏の日
むせ返るような夏の真昼間
陽炎の向こうに僕の姿を見た
照り返すアスファルトで
危うく揺れるそれの
消えそうな姿に僕は答えを求めた
答えは返ってきたんだ
届きもしない声で
消えては現れる揺れるそれは
はっきりとして
それでいてどこか弱弱しかった
そして僕は走り出す
追いかけては逃げていく陽炎
幻想の向こうあの答えが知りたくて
追っては逃げるそれ
一体何時間たったろう
やっと追いついて掴もうとした姿は
僕の手をすり抜けて消えていった
「答えは自分で探すんだ」
そう言霊を残して
掴もうと伸ばした手の先には
赤く燃える夕日が輝いていた
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