蒸発王/蒸発王
て
青白い雲になった
一面に広がる
この虹色の雲達を
すべて詩として昇華しきれたら
私は皆と同じようになれるのだろうか
もしも
そんな日が来たならば
私には1つだけ心配事があって
それは
今度は誰が
雲になった私を詩に封じてくるのか
ということで
今も私の指の先で
産まれ落ちて全てを終える
詩のありさまを見て
まるで私は王様のようだね
と泣いた
夕暮れさえも
霧の様に広がって
彼方の空が紅蓮に燃え
其の灯りに
虹色の雲は矢張り
どこまでもどこまでも
広がっている
蒸発都市を高く臨み
独り
王(わたし)は
詩をなぞり続けている
『蒸発王』
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