軌跡鎮魂歌/アマル・シャタカ
擦り切れた指先でなぞる未来も持たず
一瞬の刺激
読み捨てられる雑誌のように
そのために私たちは在るのではない
愛しているという言葉は
搾取するための言葉ではなく
私たちもそれを望んで口にしたわけではなかったのに
心に焼きついた黄昏色の日々が
ときおり目をかすめてゆく
零した涙を宇宙に帰したって
戻れるはずもない日のことを
朱に塗れた手で開く扉の向こう側には
何があるのか何もないのか誰も答えられない
けれども私たちは蹴破ってでも進むよりほかになく
交わした目線に互いの命を抱きしめて
弱々しくとも足跡を刻む
たとえそれが善でも悪でも
刻まれたレクイエム
生存の証
あなたと私がいま在るということのすべて
楽園から追放されてなお
生き続けてきたことの軌跡
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