歌/はらだまさる
 
もまだ
真っ黒な
星の匂いを
吸い込み
瞑想してっから


羽根のはえた指で
俺は偉そうに新聞をひらいて
だけど記事は
いつ見ても
灰色の、
灰色で
北や南では
何万年が溶け
西や東では
神が神を殺め
向かいの家では
母親が実の息子に殴られて


奇妙で圧力的な記号に
俺はぐるぐる、ぐるぐる
錯乱しちまって
馬鹿みたいに
間の抜けた
大きな溜息が
口から
ぼとりと落ちる


それでも


それでも


お前はしずかで
穏やかに
やさしい、
ほんとうに
やさしい顔つきで
瞑想して


滅ばない人々が
失わない
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