春のこの夜、誰よりも君を愛す。/まどろむ海月
 





家出したまま三日も
戻って来なかった日があったね
最近やたらにぼくの背中を傷つけるし
君の綺麗な爪はひどく痛むんだよ


確かに僕は毎日遊んでいるさ
でも誰と遊んでも
君のことは忘れない
誰よりも君を愛す

と言ったら
君は憑き物が落ちように
すっかり安心した顔で眠ってしまった


庭で暴れているのは誰だろう
きっと聞き耳を立てていたんだ
僕のセーターを振り回して怒り狂っているのだ
あの調子じゃあ花も草もきっと滅茶苦茶だろう

毎日一緒に散歩しているのは誰
朝焼けの下でも黄昏の中でも
雨の日も強い風の日も
こな雪がちらつくあの日
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