トタン屋根の上で/
田島オスカー
二月の雨がぬるくて
少しだけさびしい
雲はいつだってしたたかで
冷たい雨ばかりではないのだ、と
こっそり僕にうそぶいている
僕は演歌歌手ではないので
いいひと、を雨に頼ることはできない
雨雲が運ぶのはいつだって
凝り固まったわびしさだけだ
世の常の脅威
誰からでもなく
自ずと濡れてゆく僕は
艶を消し去って今日も雲ばかりを見ている
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