また一つ、愛が終わった。 /服部 剛
残業の仕事につかれて夜道を歩いていると、
遠い空の下にいる君の声が聞きたくなり、
携帯電話を持たない僕を、
闇に光る電話ボックスが声も無く呼んでいるようで、
僕は今夜もガラスのドアの中に入る。
もう君は仕事を終えた時間だ・・・
一呼吸した後に、小銭を入れて、
指で記憶した電話番号を押す。
あの日からもう二週間以上、君の声を聞いていない
それでも残された希望を手繰り寄せるように、
寂しがりな心は君の沈黙の答を受け入れようとせず、
過ぎ去ってしまった日々を取り戻そうと、
抑えられぬ感情に曲がった文字で埋め尽くされた、
届く
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