愛する母/杉山 さち
あなたはいつも私に
「私は誰にも大事にされなかった」
と諦めたように言うけれど私はそれを聞くのがとても嫌いです。
何故なら私はとても無力だからです。
あなたが愛されたいのは、愛されたかったのはあなたの母親にだからです。
いくら私があなたを愛してもいくら父があなたを愛してもあなたは
いつまでもあなたの母親の愛だけを追い求めています。
三姉妹の真ん中の子供で一番手の掛からなかったあなたは
「お母さんは私には関心がなかった」
といつも嘆いているけれど
そんな事はない、と私は思います。
「あなたは十分に愛されていたよ。
祖母はあなたをきちんと愛していたよ。
あなたの周りの人はきちんとあなたを見守り愛していたよ。
あなたが思うほど、言うほどあなたの人生は悪くはない。
振り返ってごらんよ、あなたは愛されていたよ。」
と本当は告げたいけれど私の事をまだまだ子供だと思っている
あなたの前では私は何も知らない子供でいてあげたいのです。
それがあなたを愛する子供の役目なのです。
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