明日には天使もいるだろう/黒い鴉
おとぎ話を聞かせてあげる
桃から産まれたわけでも
竹から産まれたわけでもない
ヒトから産まれたヒトの子供が
いつかは天使になるつもり
・
それはね
誰かの後ろに守られたとき
そのヒトの背中に翼が見えた
はかなく散る 最期まで見てた
『僕はどれだけ無力なんだ』
・
何かの陰で怯えてる
自分がつくづく嫌になる
どうせ拾った命なら
ヒトにつくせる天使になりたい
・
それから
誰かの前に立ちはだかる度
そのヒトの瞳に覚悟が見えた
怯えて逃げた 最後まで見えた
『僕はどこまでも卑怯だな』
・
傷つけるなら それは同時に
失う覚悟があるんだね
そんなものなくていいのに
人間らしさも失ったら
天使にも 悪魔にも
なれるだろうか?
・
いつまでもつくづくヒトだから
誰かの後ろに守られて
吐き出すことは綺麗事
天使なんかいなくても
何も失わずヒトを救おうなんて
夢物語でも
このおとぎ話は続く
どこまでも図々しく明日は続く
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