あめやどる/夕凪ここあ
雨の夜に雨宿り
海の底にいた頃を思い出すと
今でも胸がぎゅっとする
引き潮の晩
こっそりと寝床を抜け出して
海岸線で眺める淡い月
明くる晩も明くる晩も
私段々と海から遠ざかって、く
海の底から水面を見上げると瞼を閉じても眩しい光
珊瑚よりも 珊瑚よりも ずっと
海岸線 丘 から街へ出る
明くる晩も明くる晩も
海へ戻ろうにも日焼けし始めた髪の毛
砂に足をとらわれて、満ち潮、息が次々に泡めいていく
どこかで貝殻の髪飾りを落としてしまった日から
砂浜を歩いて
貝殻を拾い集めても
どれも私のものではなかったし
どれも海の音を忘れてしまっていた
雨の晩に海の近くで雨宿り
溺れそうになっていると
ざわつく暗い海の方からかすかに
珊瑚の、さよなら、
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