気泡/
hon
グラウンドを白線が伸びあがり
休日の足跡をふまえるとき
光線はオレンジの斜面を傾ぎながら
予定の収穫を浚おうとしている
土の内部から気泡が生まれて
倒れた彼女を包み込んだけれど
それは足もとの空へと広がりつつある
波の背後から消えることはない
気泡は白線をさえぎらないから
光線とわずかに触れているあいだは
彼女の空間を透明に輝かせて
いましも風の重みに撓んでいる
悲しみに似た雫がひとつ
頬のカーブをつたって落ちていく
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