ニカラグア競争男/カンチェルスキス
」
オートバイの匂いとか、バターの匂いとか、ミント系のガムの匂いとか、
昆布茶の匂いとかはさておき、カップヌードルのカレー味の匂いは、
部屋全体に瞬く間に充満する。
「なあ、そうだろ?おっさん」
とおれが訊くと、
「ああ、シーフード味もそうだよ」
曇りかけた空の下、おっさんの赤い帽子がめきめき赤くなっていって、
あ、梅干しと、おれは思ったが、あなたはどうだ?
これほどおれはサッカーのレフリーが駆けつけてくれないかな、と
思ったことはない、あの黒の服着た、太腿がむっちり系の審判が。あの
グランドに狂いも無く白線引きで白線を引いてくれるような審判が。
きっと
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