ロナの憂鬱/緑茶塵
 
て?森の精霊様に嫌われてなければね」
「ありがとう、ロナ」
もう他の客もいないので、ロナは席を離れてグラスと瓶を拭き始めた。
その時ふと、この魔法使いはこの酒場に住むことを決めたのだと思った。
そしていつかロナが諦めてしまった時、自分はこの魔法使いと一緒にこの岬を離れるのだろうとかと考えた。

自分をおいて出て行った母のように、自分は若くずる賢い魔法使いに守られて住み慣れた土地を離れるのかもしれないと思うと、ロナは少しだけ憂鬱になって、そしてその事ですでに魔法使いの魔法にかかっているのかも知れないと思うと、ロナはやはり少しだけ憂鬱になって、大きなため息を吐き出した。
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