夜未記/
木立 悟
降りつもる首しめるよに降りつもる信じることのできぬしあわせ
ひとつまみふたつまみして倒れゆく小さな夜の集まりの塔
家の背にあふれはばたき打ち寄せる星に至る火はらむ冬原
傷をなめ傷を這う舌沈みゆく治らぬままに熱さのままに
傷と葉に傷と葉にただ降りつもる風を刻んでしたたり落ちる火
行く道のすべてが帰る道の色どこへ帰るかわからぬままに
血の跡が旗のかたちに臥す夜に動かぬ船の汽笛のみ鳴る
暁を浴びても朝をいだいても離すことさえできぬ夜の手
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