ノート(行方)/木立 悟
 




雪が雪に植える種から
何も生えぬまま春は来て
終わりとともにまた冬が来る



まねごとは終わりましたか
紙は言葉で埋まりましたか
燃やせなかったのですね
だから
波の下にすべらせたのですね



吹雪を
焼け死ぬように呼吸しながら
ひらいた空を
胸の高さに折りたたみながら
木の影を泳ぐ
花と声を見つめながら



とどまることのない
夜を歩む














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