「さよなら、愛しい君」/和 路流(Nago Mitill)
しれないし、僕も そう思ったことがある。
だけど、気づいたんだ。
2つしか手のない人間が
すべてのものを掴んだまま ずっと離さないでいることなんて、
出来るはずが なかったんだってことに。
おぼえておいて。
たとえ 目には見えなくなっても、大切なものは必ず、
何時までだって君の手のなかに、しっかり包まれているんだ。
たとえば 僕が この世界から いなくなっても、
僕の言葉は君の心に ずっと残るように。
君が、何もかも失くしてしまったと思ってしまうのは
大事にしすぎて、手を強く握り締めているせいなんだ。
ほら、手を開いてごらん。
君が探してるも
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