鼠色の町/
野薔薇
鼠色の煙が
昔この場所を制していた
今は
その煙を製造していた工場は
取り壊され
この世から姿を消した
人々は期待した
工場と共に
この煙も消え去ると
だけど
それは間違いだった
鼠色の煙は消えることなく
人々の心を煙らせて
町から離れさせ
たくさんの建物は
煙に覆われて
人目を浴びることなく
老廃し
ここに降り積もる雪ですら
その純白を保つことなく
すぐにその煙のような鼠色に
同調してしまう
その町には
光は二度と入ってこない
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