ひが/ねなぎ
 

ライターの炎を頼りに
引き出しから蝋燭を探し出し
シーチキンの空き缶に立てると
何か
目出度い気分
何の
祝いでも無く
魚の
油臭く
寧ろ
呪いな気がして
仕方なく
その火で煙草を吸う

細い蝋燭では
寒すぎて
すぐに消えるので
差し替えるのが面倒になり
纏めて芯を束ねて灯すと
缶が持てない程の熱さで
思わず煙草が缶の中へ
飛び込んで
急いで拾うと
蝋が
揺れて
倒れて
毀れて
白さ

一瞬で弾け
指に広がり
固まり
熱さに
咄嗟に
払い除けようと
手を
振った
瞬間



爪に
戻る   Point(1)