ひが/ねなぎ
ライターの炎を頼りに
引き出しから蝋燭を探し出し
シーチキンの空き缶に立てると
何か
目出度い気分
何の
祝いでも無く
魚の
油臭く
寧ろ
呪いな気がして
仕方なく
その火で煙草を吸う
細い蝋燭では
寒すぎて
すぐに消えるので
差し替えるのが面倒になり
纏めて芯を束ねて灯すと
缶が持てない程の熱さで
思わず煙草が缶の中へ
飛び込んで
急いで拾うと
蝋が
揺れて
倒れて
毀れて
白さ
が
一瞬で弾け
指に広がり
固まり
熱さに
咄嗟に
払い除けようと
手を
振った
瞬間
に
爪に
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