ごめん なさい/朽木 裕
る。
けれども死ぬわけにいかない私は無様でない生き方を探す。
口が切れるくらい冷たい水でそそぐ。
何を くちびるを 存在を。
鏡の中にうつった幽鬼みたいな自分を百億回目くらいに酷く、嫌悪した。
無様でない生き方を私はまだ知らなかった。
「す き」
呟く口は食べものを吐いた ひたすらに。
「い か な い で」
決して置いていかれはしないのに私は脅えた。
信じてないの、と哀しそうな瞳。
違う
信じていないのは自分の存在価値
ごめん
一番嫌がる言葉を私は何度も何度も口にする
ごめん
ごめんなさい
どうして謝るの
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