「 きみへの太陽。 」/PULL.
「太陽を見たことがない。」
きみはそう言って、
ぼくは太陽の話をした。
きみはそれだけじゃ満足しなくって、
だからぼくは旅をして、
色んな太陽を見て回ってる。
色んな太陽たちは、
どれもひとりひとり色が違ってて、
とっても鮮やかな赤たちなんだ。
あのね。
みんなきみに会いたがってた。
そんな時、
ぼくはいつも彼らに、
こう言うんだ。
あなたの鮮やかな赤を一滴、
ぼくの血に下さい。
それはぼくの中で息づいて、
いつか彼女に届くでしょう。
了。
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