ディープナイト アンド サウンド/マッドビースト
デイビスという名前の動物が
銀色の毛並みを逆立てて
部屋を飛び回る
出口を探して壁という壁に体をぶつける
ときに強く
ときに軽やかに
僕の思想も
厚い頭蓋骨の中を
同じように反響してゆく
形を変え
方向を変え
なんであったかを忘れて
なんのためかをその都度新たにしている
デイビスは鋼の動物なので
鋭利な激しさと
滑らかな強靭さをもっていて
僕が口から部屋に放つ
言い訳や不平や
確かにある社会の矛盾さえも
喰らいついて
切り刻んでしまう
それはデイビス
君が口しか持たない動物だからだ
喰らいつくための口
リズムを刻むための口
トランペットのための口しかもたない
僕は余計なものをそぎ落とすため
睡魔の訪れを地面に伏せて待っている
静かなパートが始まり
デイビスは明日を迎えるための手続きであるかのように
荘厳な遠吠えのような音を響き渡らせている
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