「憧憬」/ベンジャミン
 

あの海になろう
あの森になろう

さかなたちのいる
けものたちのいる
いのちのある
かつて私を生み出した

波をうねらせ
梢をゆらす

力強く
両手をひろげ
すべてを抱きしめる

懐かしく想うのだ
忘れてはいないのだから

あの海と森と
そこに生きる

水底に押し固められ
深い根にからまった
生きるということを思い出せ

かれらは私であった
私の一部であり
私のすべて
であった

青い体
青い細胞の群れ
記憶
つながっていた
みんなを包んでいた
私を揺らしていた

生まれたときの産声を
しっかりと刻み込んだまま

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