ピアス/ロリータ℃。
若さの中に埋もれていたのかもしれないね
乾いた木にもたれかかって
微熱を持った耳に唇を寄せた
それは丁度冷たい風が月明かりをざわめかせたとき
その落ち着き無い立ち居振る舞いが急に不機嫌に静かになって
私はほんのすこし伏せたまつげにくちづけながら
その耳たぶを優しく食む
舌に冷たい硬い感触
とても柔らかい耳たぶなのに
飲み込めなくてゆるくなぞった
甘えてばかりで見えてなかった
私に与えられたものは喪失なのだろう
けれど失うことはかつて所有していたことの証だから
私は笑って手を離そう
持っていたことにも気づかなかったけれど
手にいれた瞬間き
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