「現実の世界」と「物語の世界」/相良ゆう
 
味で、わたしたちは自分に対する他者が居ることを、
現実の世界における関係交渉から学ぶのです。
そして他者の存在の認識は自己の存在を意識させるにいたります。
これがいわゆる自我の萌芽となるのです。


ここまでは「現実の世界」とそこに於ける関係交渉の基礎を考えてみました。
しかし冒頭に述べたように、わたしたちは現実の世界にだけ住んでいるわけではありません。
わたしたちはその上に、「物語の世界」にも同時に住んでいるのです。


では「物語の世界」とはどんな世界なのか。
それは「現実の世界」における何者とも接触することなしに知覚される世界と定義してみましょう。
少し抽象的過ぎる
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