Kanon/水町綜助
 
てかぶりたくなかったからよく追っかけられて
いきなりUターンしたからマンホールで滑ったんだ
学ランなんかこすれて溶けて破れて
クランクかどっかから一瞬火花が出てた
空の下で火花が咲いてた


たたきつけられる衝撃と
硬いものと硬いものがこすれるぎざぎざした音
それとまだやわらかな欲望


あのころ静かに流れる時間の中にそれは見守られるようにして存在した

いまカノンが流れている


町の中の小さな公園は何もなくて
ほんとうになにもなくて
ベンチがいくつかと
ジャングルジムとくっついた滑り台
あとブランコくらいのもの

なにもないから君をつれてきた

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