Allergie/はらだまさる
 
遠くへ、じりりりと
八条口が大きく広がって
宇宙のノドちんこを官能的に触るように
水に溶けた塩のような関係性の匂いを嗅ぎ分けて
グローバリズムが歩いているけれど、
立ち止まる方法を知らない文庫本のうえに転がる、
使い古された漢字の数々が靴擦れして
巻き爪と魚の目の打楽器が「光った」と思うと凝固して
空に消えてゆくよ、待ってくれ。
俺はそんなに早く演奏出来ない。


昨年付けで鳥獣戯画のバイトをクビになったママに、
分裂は優しさと教えられて苦虫を噛んだが、
永遠でないことに至極安心する。
こうなったら玉砕覚悟でモンマルトルに嘘泣きを記号化して、
葉書を書こう。


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