"Fly・Fly・Fly"/和 路流(Nago Mitill)
 
鋼鉄の塊である
この怪物の腹に乗って
どうして僕は 空を飛べるのだろう
なぜ人は 空を飛ぶのだろう

眼下を見るがいい、
爪痕の残る大地を。
だが天頂目指して飛ぶ人々は
あの彼方の青空しか見ていない。
空へ、空へ
もっともっと、高いところへ。

人は なぜ飛ぼうとする。
命宿る重たき体の
力を振り切って
空へ。
決して、たどりつけぬ場所へ
なぜ向かうのか。
そこには、一体何が見える?

眼下を見るがいい、
黒く燃える大地を。
だが高みを目指して昇る人々は
あの遥かな空しか見ていない。

もっと もっと 高いところへ…

なぜ人は飛ぶ?
なぜ僕は、高いところへ惹かれる?
高いところを目指す必要性は、あるのか?

なぜ 人は行くのか
まだ誰も見ぬ、高いところへ。
 

                    (1999年・筆)
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