「時を越える、やわらかな記憶」/和 路流(Nago Mitill)
 
手に、僕の言葉が残っていれば
僕の思いは、きみに伝わるだろう?

そのために 僕は歌うのをやめない。
たとえ、この社会が いつか 壊れてしまっても、
僕は生きて、そして、叫ぶ。
この世のすべてを、愛し続けるために。

僕は きっと
僕の記憶のなかの、あらゆる素晴らしきもの、よきものを集めて
世界に、ただ 1人のきみに捧ぐ、
この世に、1つだけの歌を作ろう。
それは、時を越えて 僕の胸を熱で満たす
やわらかで、鮮やかな、記憶。

なあ、この体は 魂の器なんだ。
そして、魂は 僕の記憶の器だ。
僕が死んだら
命無き僕の姿は、もう どこにも残らないけれど
きみの胸に、僕の やわらかく鮮やかな歌が、ぬくもりと共に残っていれば
僕の命は、無駄ではないだろう?

                                                            (2007年・筆)
戻る   Point(1)