血の涙/
野薔薇
いつからか
泣くという事が
できなくなってしまった
涙は
決して
私を守る銃には
ならない
涙は
一度流してしまったら
血となり中々止まらず
どんどん流れていく
そして
獰猛な野獣は
敏感な鼻でその臭いを嗅ぎつけ
集まってくる
死体のように
血の海の中で何もできない私は
彼らの格好の餌になってしまう
強くなるのに必要なのは
涙の数じゃない
敵の武力を知り
時には必要な武器を身につけ
時にはその場から逃げる事
そう思い知らされた十五歳の冬だった。
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