目眩めく/ヴィリウ
此の世の春の如き陽射しの中で、
青い貌で、
暗い目で、
御前は愛を白状してゐるのか。
乱れた着物で、
血で汚れた素足で、
御前、
御前は、
私に憎悪を乞ふのか。
こんな目眩めく春の陽射しの中で。
呪詛に永久の絆を籠めるのか。
縋る身体が声に成るやう。
確かに耳に木霊した。
思つて呉れと云ふ絶叫が。
御前の声だ。
弟よ。
私は御前を赦さないだらう。
御前は私を忘れないだらう。
嗚呼、
此の呪ひが在る限り、
私達は生涯結ばれてゐるだらう。
さう、
此れは愛を告げてゐるのだ。
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