迷子/Asako.H
作家は魔術師であり
詩人は錬金術師であり
俳優は詐欺師である。
私は彼らに憧れ
でも世捨て人にはなりたくなく
(それは逃げだ、とみなが言う)
それでは、と職を探し始める。
そこにみなが言う世があるだろうと。
だがあったのは
魔術師より
錬金術師より
詐欺師より
まやかしに満ちた社会
みなは自分に催眠をかけ
率先して己の洗脳を繰り返す。
「ワタシはシュウカツがタノシイデス。」
本当かしら。
「シュウカツはヒトとのデアイデス。」
本当かしら。
すべてが嘘にみえ
しかしみなは嘘を本当だという。
すると嘘だろうと本当だろうと
それは真実になる。
新聞記者は正義の志士であり
公務員は国家の担い手であり
会社員は経済の操縦士である
私は彼らに憧れ
でも社会人にはなりたくなく
(それは逃げだ、と私が言う。)
じゃあ一体何がしたいのかしら
見つからないから
知らない街のチェーン店で
こんな駄文を書き綴る。
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