たより/
夕凪ここあ
今日も昨日もわからないほどに
十分すぎるほど
ひとりぶんの日々
あなたが見えなくなったのは
赤く染まる、初めての夜のことでした。
そんなことを思い出していると
便箋の中から吹いた春先の風が
ゆううつの波をさらっていった
翌朝
返事を出そうにも音信不通
春が待ち遠しい
双子の声を便りに
ほどなく晴れていく冬
郵便受けに
涙みたいな跡
あれは
雪解けだったのかもしれないけれど
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