たより/夕凪ここあ
 

今日も昨日もわからないほどに
十分すぎるほど

ひとりぶんの日々

あなたが見えなくなったのは
赤く染まる、初めての夜のことでした。


そんなことを思い出していると
便箋の中から吹いた春先の風が
ゆううつの波をさらっていった

翌朝
返事を出そうにも音信不通

春が待ち遠しい
双子の声を便りに

ほどなく晴れていく冬

郵便受けに
涙みたいな跡

あれは
雪解けだったのかもしれないけれど
戻る   Point(8)