「繋ぎとめていてくれ、僕を」/和 路流(Nago Mitill)
 
独になるということなのだと、僕は分かっている。
本当に自由になってしまったら、僕はどうなってしまうか分からない。
甘く、けれど、強く
僕を束縛していてくれ、何時までも。

狂気は淡白な日常の連続形だ。
僕は、何時も、境界線に立って
炎の上、軽やかなステップを踏んでいる。
どうしようもない浮遊感で一杯の、この世界で
きみの手の現実感だけが本物なんだ。
だけど、束縛を厭い、自由を切望する葛藤が
地を蹴って世界を変えてしまえと、絶え間なく僕に囁く。

繋ぎとめていてくれ、僕を
この地上に
きみの その温かな手で。


                   (2007年・筆)
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