眠れる姫/
知風
少女は聖別された湖面をゆく
首長きアヒルにまたがって
少女は男の地下迷宮をゆく
英雄的な畸形美をたずさえ
その胸の実りなき大地に
籾だねを撒くことはかなわぬ
その手足その指を求める男らに
少女はばらばらに引き裂かれ
その断片は背徳のねぐらの
飾り窓に置かれるだろう
やがて肉を持ち育つ
美しくも醜く欠けた塊
魂は見る者の湖に映り
決して細胞に宿ることはない
女の地下壕に男は彷徨い
隣で鳥人の夢を見る
かくしては時は腐熟して
眠れる姫はしゃべりだす
戻る
編
削
Point
(1)