幸月夜/ウデラコウ
 



誰もいない 都会のど真ん中で

君は酷く不安そうで それでいて 酷くご機嫌に
僕の手をとって

暗闇を 突き進んでいったね

そんな君の横顔を 僕はまた
少しだけ盗み見ては

君の隣に 並べることだけで

嬉しくて 嬉しくて


君とつないだ 左手を

高く 高く 掲げて



都庁にかかる あの象牙色の月に向かって

コイツは僕のなんだぞ! 羨ましいか!

って


叫んでみたくなったんだ。


そうすれば 君は すぐに 満面の笑みを 浮かべて




そのまま僕を 攫ってくれそうな

気がしたんだ





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