「 つめたくて。 」/PULL.
ても起きない。
こんなお寝坊さんは、
はじめてよ。」
わたしは笑ってそれに応え、
妻の炊いた冷たい飯を食べる。
わたしはあたたかい飯が好きだ。
だが妻の炊く飯は、
いつも冷たく凍てっている。
わたしは幸せな気持ちで、
それを食べる。
同僚たちに聞かれると、
わたしはいつもこう答えている。
「妻の作る料理は最高だ。
特に飯が美味い。
あんなに美味い飯は、
妻と出逢うまで食べたことがない。」
わたしたちは、
そんな夫婦である。
了。
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