低体温/
さくらほ
ない
この街で赤ちゃんは暮らせない
見上げた空には
光のフリルでふちどりされた黒い雲
アンバランスなその姿は
背伸びした未成年の女の子みたいで
やけにまぶしく見える
昨日まで何かが植わっていた所に
今日は突然チューリップが咲いている
進んでいるこの街は季節までもが早く訪れるらしい
それならば今朝方ちらついた雪は
もう遅れてるという事なんだろう
朝から痛い頭で皮肉めいた事を考えている私も低体温でこの街に生きている
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