冬の日/
小鳥遊
はしって はしって
絡みつく全てのものを振り落とすように
髪が逆立ってゆく
足音がこだまするのは
寂しさではない
降り積もった雪のせいだ
人影もない校舎は
やわらかに受け入れる
薄汚れた壁も天井も
しみついた汗のにおいも
リノリウムには多くの足跡がつき
誰も背を知らない
たぐりよせてはいない
足がもつれるほどに走れ
目の端に零れてゆくそのスカートの面影
蛇口の名残が音を立てる
さぁ はやく
さぁ はやく !
戻る
編
削
Point
(1)