冬の日/小鳥遊
 
 はしって はしって 
 絡みつく全てのものを振り落とすように
 髪が逆立ってゆく



 


 足音がこだまするのは
 寂しさではない
 降り積もった雪のせいだ






 人影もない校舎は
 やわらかに受け入れる
 薄汚れた壁も天井も
 しみついた汗のにおいも
 リノリウムには多くの足跡がつき
 誰も背を知らない






 たぐりよせてはいない
 足がもつれるほどに走れ
 目の端に零れてゆくそのスカートの面影
 蛇口の名残が音を立てる
 さぁ はやく
 さぁ はやく !















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