窓から出よう/くあせ@ふじこ
 

私の中の
ちいさな夜たちは
はぎれを縫いつけた様に集まって
窓に映っている
それを眺めている



しめったガラスの向こう
いつ決壊してもおかしくない
時が止まったかのように
動かないでいる
小さく身震いしたら
きっと崩れ落ちてきて
人は静かに
けれどとめどなく泣き始める




ぺたりと冷たい床の上で
ぼうぜんとして生きていくような速さで
私は一体何を
落としつつ過ぎるのだろう
涙かもしれない
小銭かもしれない
指輪かもしれない
化粧かもしれない




髪が濡れたまま
風邪をひくまで
フローリングに横たわっていようと
そう決めた夜から
私は出て行こう
澄んだ空気は
深夜と同じ色




出て行こう

さあ窓から出よう
窓から出て行こう
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