実験的感覚的その4/はじめ
 
ない
 全身が硬直しているせいで僅かに動くだけでも胸が激しく痛む
 雨の雫が一滴落ちるだけでも体がビクンと反応し
 胸にむず痒さが走る
 消灯の光までもが胸に重圧をかける
 誰かの話し声だけでも 
 自動車が走り去る時でも 
 時計が一秒一秒刻む音でも胸に不快感が溜まる 
 しかし僕はその中で 一種の快感を覚える
 しばらく無の時間が過ぎる 
 何もすることができないし 
 ただ過去に苦しめられた扇情的な言葉の群れが
 僕の耳元から頭の中を飽きる
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