3度目の原爆/はじめ
 
の為にマンションは一瞬にして吹き飛び 母親は次女を庇うこともできずに遠くへ飛ばされ死んだ
 東京は瓦礫の山と化していた 人の影が無数に存在していた 人々は肉体を探す為に魂が影となって彷徨っていた 空には放射性投下物が溜まり 濡れ羽色の雨が降り続いていた 辛うじて生き残った生物達も 大量に放射線を浴びていて 生物濃縮が始まっていてどうしようもなかった 影は雨に打たれながら うぉうおう と叫び この世の虚しさを嘆いた
 しかし 瓦礫の山から這い出た あの次女は奇跡的に怪我もしていず 放射能も浴びていなかった
 彼女はこの非常に殺伐とした景色に畏怖していた
 彼女は近くに母親がいないことを深く悲
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