魔法の杖/かぜきり
 
形状は杖だ
ステッキだ
傘でもいいかもしれない
扇子とか杓文字 
もしくはお玉なんかでもその効力は絶大である
指輪でもいいのだし手鏡でもよろしいのだ
姿見であってもかまわないし
果てには空手であっても問題無し

まぁ 結局のところ
なんでもかまないのだろう

そのようなものだよ と
やつはそういっていた

欲しいと言ったのはわたしだ
あげられないよと言ったのは奴だ

杖は杖だから
杖ならいくらでもあげるけどね

と そのようにいっていつものようにひらひらと手を振っていた

欲しいのは魔法の杖であって杖ではないのに
あのひらひらと振られていた手が 忘れられない

後日杖だけが私の手元に届けられた
ごく普通の杖で どこから見ても木の棒で

私の手に妙に馴染んだ。


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