「Pink」/大覚アキラ
超えて
現在に屹立する鋼鉄の精子だ
ピーナッツバターを塗ってバナナを載せた
マクビティダイジェスティブクッキーだ
新型都市交通システムの銀色の車両は
徐々にその速度を上げてゆく
四角い箱型は流線型に形を変えながら
すべての駅を通過して
ホームに立つ人々を飲みこんで
凶暴なミキサーのように唸りながら渦を巻く
血飛沫をまとった銀色の円盤になる
血の赤と透き通った銀色が混ざりあって
輝くようなピンク色の光を放つ円盤
その中でぼくは
資本主義を殺す瞬間を想像して
ただ身震いしていた
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