「Pink」/大覚アキラ
資本主義という名の透明な怪物が
ビルの谷間を音もなく駆け抜けてゆく
それとはまるで対照的な緩慢さで
新型都市交通システムが
のろのろとモノレールの上を這っている
銀色の箱型の車両には
鳩の糞がたくさんこびりついて
印象派の点描のように
見事なモノトーンの濃淡を描いている
ぼくは銀色の箱に乗り込んで
資本主義の踏み荒らした痕を辿ってゆく
狩りはすでに始まっている
息を潜めろ
目を見開け
ぼくは戦士だ
古代の王に仕える
誇り高き戦士だ
すべてを噛み砕く
血に飢えた巨大なワニだ
都市を跳梁する
しなやかな形を持った音楽だ
幾千万の朝と夜を超え
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