L/佐野みお
需要と供給との交点を探る単純に経済学的な
愛の問題だったのかもしれない、冬の
あなたの唇が触れたことのある私の傷口は
今も赤紫のかさぶたとして残っています
それが何かの文字に見えてくるとき
決まって訪れてくる眩暈の種類があります
有権者の投票行動を分析するきわめて政治学的な
愛の問題だったのかもしれない、冬の
かさぶたがアルファベットに見えることがある
どうしてだかあの寒い夜に降り始めた
RAINのつづりを間違えて
Lから書き始めてしまった
どうしてそれを指摘してくれなかったのですか
遵守を義務づけられる状況の範囲を定義する
ただの法律学的な愛の問題だったのだ、冬の
過ちを放置されたLはLのまま降り続いている
A、I、N、と雨粒は続く
A、I、N、このかさぶたに、L、A、I、N、L
スペルの違う冷たい雨に打たれるがまま
もしかしたらあなたが帰ってくるかもしれないと
待ち続けている
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