『舌先にのせたレンゲの味』/しめじ
 
繋いだ手のひらに
にじんだ汗の匂い
舌先にしびれる感覚
ああこれは毒なんだな
夜、雑踏の音を聞きながら
いつまでもはなせずにいる
海にまつわる記憶


お月さまに呼ばれて僕は
シフトチェンヂする

疾走
二日酔いの天使に囲まれて
失速した昨日


針山を前にして
汚れた目を閉じる
指先に伝わる感覚
血液がじんわりこぼれているのだ
夜、祝詞(のっとう)の音を吐きながら
いつまでもさまよっている
カリ=ユガの世界


お月さまに呼ばれて僕は
シフトチェンヂする

疾走
梵鐘
しきりに耳の後ろ辺りを掻いて
煩悩を掻きだすのだ
三年間山篭り
真っ白な陶器を前にして
耳ばかり掻いている哀れな僕


お月さまに呼ばれて僕は
シフトチェンヂする

疾走
二日酔いの天使に囲まれて
失速した昨日

お月さまに呼ばれて僕は
シフトチェンヂする
シフトチェンヂを繰り返す

戻る   Point(2)