もうひとつの空/Rin.
もうひとつの空の下には
空想好きの少女がいた
彼女は瞳の中で
小さな星を育てていて
世界からこぼれるように鳴るメロディーに
詞をつけては歌いながら暮らしていた
詞の中では少女は
なりたいものになれた
行きたいところにも行けた
彼女の詞はだいたいがいつも
光で満たされていた
もうひとつの空に夜はない
ある日少女は
恋をした
自分の中で一番輝けるもの
少女は星を歌おうとした
そのたびにこみ上げてくる涙が
瞳の星を逃がしてしまいそうになる
少女は必死で瞼を閉ざし
守ろうとしたのだけれど
成長した星の頂点が痛くて
また涙がこみ上げる
もうひとつの
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